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#4:上体強化:基礎 「ベンチ・プレス導入」2

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 スポーツ選手の上体強化:基礎「ベンチ・プレスの導入」について、前回に引き続き解説していきます。
 前回は、基礎段階におけるベンチ・プレスの効果と導入に際しての重要ポイント①(表1)を中心に述べました。今回話題にするのは、②バランスの取れた強化を図る、③肩関節の柔軟性を養成しながら進める、④初級段階にふさわしい重量設定を行う、の三項目についてです。

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②バランスの取れた強化を図る
1)上体筋群をバランス良く強化する
 ある特定の部位に偏るのではなく、上体筋群をまんべんなく鍛えることは、トレーニングの原理・原則の一つである「全面性の原則」に依るもので、まだ身体のできていない基礎段階の選手では、特にこのことが当てはまります。
 ベンチ・プレスによるトレーニングでは、大胸筋を中心に上体前面の筋群や上腕伸筋群を強化できますが、これに加え上背部、上腕屈筋群、肩上部などを鍛えるエクササイズをプログラムに組み込むことが望まれます(表2 初期プログラムの一例)。

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2)インナーマッスルとアウターマッスルの強化
 肩関節の深層筋群、いわゆるインナーマッスルと表層筋群・アウターマッスルをバランス良く強化していくこと。
 肩関節は自由度の大きな関節であり、様々な動きのエクササイズにより、表層から深層の筋群にいたるまで丹念に強化していくことで、ケガをしにくい丈夫な肩づくりにつながります。
 ボールを投げる、ラケットを振るなど、腕・肩を大きく動かすスポーツにとって、インナーマッスルの強化は、とりわけ重要な課題だと言えます。また、ラグビーなどのコンタクト競技においても、タックル時に肩の固定力を増すなど、表層大筋群の存在に隠れがちですが、機能的には重要な役割を担っています。
 一般的には、ベンチ・プレスでは、アウターマッスルの方が優位に強化されると言われています。インナーマッスル強化のためには、上腕を回旋(内外旋)させる、脇を締める等のインナーマッスルを刺激するエクササイズ(写真①②③)を合わせて行う必要があります。

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3)肩甲骨を滑らかに動かす、周囲の筋群をほぐす
 肩関節の動きには、肩甲骨の動きが密接に関与してきます。肩甲骨が滑らかに動けば、肩の可動範囲も大きくなります。反対に肩甲骨の動きが小さくなると、肩の可動範囲が狭くなります。先にあげたような、肩を大きく動かさなければならないスポーツとっては、肩の動きが制限されることがマイナスとなるのは、容易に想像できることかと思います。
 ベンチ・プレスの基本フォームにおいては、胸を張り、肩甲骨を寄せた姿勢(内転)を保つことが求められます(写真④)。これは、大胸筋をうまく使えるようにすること、そして肩を安定させ力を発揮させやすいポジションに固定することが必要となるからです。

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 したがって、ベンチ・プレスを行っている間じゅう、肩甲骨が内転状態で固定されることとなり、上体前面ばかりではなく、肩甲骨まわりの背中の筋肉も疲労してきます。トレーニング終了後、このまま何の対処もせずに放っておくと、蓄積疲労により肩甲骨まわりの筋肉が凝り固まってしまうことにもなりかねません。つまり、肩甲骨の動きが制限されるケースも出てくるわけです。それを防ぐためにも、周囲の筋肉をほぐし、肩甲骨の動きを引き出す調整エクササイズやストレッチ(写真⑤⑥⑦)が重要視されるのです。
 また、初期プログラム(表2)の強化種目として取り入れられている、④ベンチ・プル、⑤バック・プレスなども、肩甲骨の動きを良くする種目として有効となります。軽い重量で動作を大きく正確に行うことがポイントです。

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③肩関節の柔軟性を養成しながら進める
 ここで言う肩関節の柔軟性とは、肩を含めた上体全体の柔軟性を指しています。胸を開く、上体を反る、丸める、捻る、腕を上げる、回す等の動作に関連してくる筋肉の柔軟性向上と関節可動域の改善を図るトレーニングを同時に行っていきます。強さと柔らかさを兼ね備えた身体をつくることこそが、スポーツ選手のトレーンニングで求められるからです。
 具体的には、上体各部位のストレッチ(写真⑧⑨⑩)をはじめ、ダンベル・プル・オーバー(写真⑪)やダンベル・サーキュレーション・フライなど軽い重量で十分にストレッチを効かせながら行うエクササイズも効果的な手段となります。

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④初級段階にふさわしい重量設定を行う
 ベンチ・プレスに初めて取り組む際のトレーニング重量についてですが、重すぎる重量でも軽すぎる重量でも効果的ではありません。ベンチ・プレスの導入段階では、基本フォームと基礎技術の習得が第一に優先され、適正重量でトレーニングを行っていくことが求められます。フォームが固まっていないこの段階で、無理をして重量を上げて進めてしまうと、肩や胸のケガを引き起こしかねません。ましてや、第1回目のトレーニングからMax重量に挑戦するなどは避けるべきです。また一方で、フォーム習得の観点から、重量が軽いからと言って、安全かつ有効とも限りません。安全に正しいフォームを身に付ける為には、重すぎず軽すぎず、適度な重量で行うことがポイントになります。
 具体的には、1セットあたりの反復回数を6~10回程度として、できるだけ潰れないように進めていきます。重量設定の方法とトレーニングの進め方については、次の機会に詳細を述べていきたいと思います。

まとめ
 以上、基礎段階でのベンチ・プレスの導入に関して重要ポイントを見てきました。スポーツ選手のトレーニングの場合、ベンチ・プレス自体のフォームや進め方の習得とともに、バランスの取れた強化や柔軟性を向上させる取り組みが大切になってきます。そういった上体の総合強化が、ベンチ・プレスを伸ばすことになるとともに、より良い状態で専門競技に臨めるようになるからです。
 柔軟性向上や肩甲骨の動きなど、効果が見えづらく、見落とされがちなトレーニングですが、基礎段階からそれらへの取り組みを習慣化し、地道に強化を積み重ねていけば、後々に大きな差となって表れてきます。上体、特に肩関節周囲の柔軟性に着目し、その動きを滑らかにしておくことは、力強く柔らかい競技での動作習得を促し、パフォーマンス向上にプラスの影響を与える決定的要因の一つになるとも考えられます。

2017年8月31日
文責:大道 泉


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