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#3:バスケットボール選手の脚トレーニング Vol.1

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 『Web講座』 第3回目は、平井が担当します。(プロフィールは、こちらより)
 担当テーマは、バスケットボール選手のトレーニングについて、連載していく予定です。

■バスケットボール選手の脚トレーニング
 バスケットボール選手のトレーニングを考えるにあたり、まず1回目は「脚力」について取り上げたいと思います。
 バスケットボールにおける「脚力」を我々はどのように捉えておけばよいでしょうか?30年以上も前に書かれた吉井四郎氏の『バスケットボール指導全書』(全3巻/大修館書店.1986)にその記載があります。

 “プレーの経験年数と平行して発達するバスケットボールの基礎的な能力があるならば、(中略)私は、それは「脚力」であると考えている。”(全書1,p.11)
 “「脚力」とは、ストップし、方向転換し、ピボットする時に主として使用される筋力である。”(同,p.12)
 “ここで意味する「脚力」とは動きの変化するところの速さ、鋭さを求めることによって発達するものを意味し、動きの変化における「クイックネス」の基礎となる力を意味するものである。”(同p,13)

 『バスケットボール指導全書』は、コーチング理論や実践的な練習方法、戦術などが詳細に記載されており、指導者のバイブルと言っても過言ではありません。類書(写真1)においても「脚力」に関して様々に記述されていますが、『バスケットボール指導全書』以上の内容のものは見当たらないというのが私の感想です。

 

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 では現代において、「脚力」を鍛えるために現場ではどのようなアプローチがなされているのでしょうか。
 私は現在、母校である筑波大学の女子バスケットボール部(2014年〜現在)など、大学・高校の男女チームを指導していますが、これまでにも筑波大学男子バスケットボール部(2010年〜2015年)や社会人男子のトップチームを含め、様々なカテゴリーの選手指導に携わってきました。その中でも、特に小中学生を対象としたbjアカデミージュニアユース(2015年〜2017年)での約3年間の指導経験が大きな財産となっています。
 これらのチームの選手・指導者を通じて見聞きした限り、「脚力」の鍛え方は指導者によって異なっているようです。例えば、バスケットボールの練習そのもので鍛えたり、自体重負荷で強化したりする方法など、様々なアプローチが見られます。
 私のこれまでの指導経験から言うと、特にジュニア世代のうちから自体重負荷でのトレーニングを実施しておくことが重要だと考えています。なぜなら、この時期にトレーニングを習慣化し基本の姿勢を身につけておくことで、高校入学後にバーベルやダンベルを用いた本格的なトレーニングにスムースに移行できるというメリットがあるからです。また、この時期は走り込みによっても「脚力」が大きく向上するため、トレーニングとの相乗効果により、さらに飛躍的な伸びが期待できます。

 また、ケガの予防という観点からもトレーニングは必要だと考えられます。
 バスケットボールは競技特性上、攻守の切り替えが激しく、空中でのコンタクト局面も多いため、足関節や膝関節の傷害が多く発生する競技です。これらの傷害を予防するために、足関節や股関節の柔軟性向上、膝周囲の筋群の強化を行うことは必要不可欠です。
 さらに近年は、24秒クロックなどのルール改正に伴い試合展開が速くなり、運動強度や技術レベルが上がっています。鍛えられていない弱い身体に負荷の高い練習・試合を重ねていけば、傷害の発生リスクが高くなることは明らかです。したがって、トレーニングによって基礎筋力や柔軟性を高め、正しい動作を習得することで、ケガの予防に繋げられます。

 それでは、本格的なトレーニングを高校生から始めるにあたり、実際のトレーニング・プログラムを例にどのように進めていけばよいか、具体的に解説していきます。
 今回は、高校生1年生などトレーニングの初期段階をモデルとし、採用した種目の目的や進め方について説明します。

 

program.jpg

 

 このプログラムの構成は、スクワット(以下SQ)とそのセット間に、自体重エクササイズやストレッチなどを組み合わせています。
 そのようにすることで、筋力強化と同時に、動きづくりや柔軟性の養成などが可能となり、効率よくトレーニングを進めることができます。
 ここでは、基本となる、3種類のSQを中心に進めています。

◆パートⅠ
 ハーフSQは、どの競技にも共通して実施するSQです。また、様々なSQや姿勢づくりの基本となります。
 浅いポジションで行うことから、高重量でのトレーニングが可能となり、脚を踏ん張る力の養成だけではなく、背筋強化、あるいは軸づくりを狙いとしています。
 その組み合わせとして、ここではBox跳び乗りJumpを採用しています。バーベルでのSQの直後に行うことで、(動作速度の)スローからクィックへの切り換えや、踏ん張った後に軽く力を抜く動きの転換などが主な狙いです。また、Jumpからの着地(柔らかく)にポイントを置くことで、足首や膝への衝撃を和らげるような身体の使い方を身につけることになり、ケガの予防に繋がります。
◆パートⅡ
 ワイドSQは、低い姿勢づくり、及び粘り強さの養成を目的としています。実際のプレーの中では、腰を落とすことでコンタクト時の安定性が高まることや地面を強く蹴る(押す)ことができ、動き出しの鋭さを生み出すことができます。
 さらに、セット間に四股を組み合わせることで、股関節の柔らかさをつくっていきます。 
◆パートⅢ
 スプリットSQは、片脚支持力の強化を目的としています。また、脚を前後に開く姿勢は、ピボット、ターン、ステップなどのバスケットのあらゆる動作の基本となります。
 それに続くセット間のエクササイズとして、パートⅠで行ったBox跳び乗りからの片脚着地を行います。急ストップ時の片脚での踏ん張り、柔らかい着地により衝撃を和らげる動きを身につけさせる狙いがあります。

※なお、初期導入段階では無理のない重量を選択し、安全なフォームで行うことを重視します。
また、プログラムは器具や環境により変わりますが、脚トレーニングを組む上で、跳び箱やJump Box(プライオBox)があると、Jumpやステップ、ターンなどの動作習得が可能となりますので、取り揃えておきたいものです。

 基本編は以上となりますが、今後はどのように脚トレーニングを発展させていくか、目的別に解説していきます。
 次回は、姿勢の低さ・粘り強さ養成をテーマとし、今回取り上げたワイドSQ以外でのアプローチや、バーベルだけではなく、ダンベルやディスクなどを組み合わせての強化方法について、解説します。

2017年7月13日
文責:平井 悠斗

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