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#2:野球選手のトレーニング Vol.1

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 先日よりスタートしました『Web講座』。
 第2回目は、鬼頭が担当します。(※鬼頭略歴は、スタッフ紹介ページより)

 テーマは、野球選手のトレーニングについて、シリーズで書いていきます。
 今回は、『投手の上体トレーニングの考え方と実践例(1)』 
をご紹介します。

■投手の上体トレーニング

 「野球のピッチャーに、ベンチ・プレスは必要ですか?」
 
 現場で、選手や指導者からよく聞かれる問いです。
 このような問いに対し、『必要な選手もいれば、必要ない選手もいる』というのが、指導経験に基づく答えです。つまり、個々の身体的特徴や競技レベル、鍛錬度などにより、その必要性は変わってくると言うことです。
 では、現場ではどのように分けているのか?まず、高校生・大学生・社会人(プロ)という世代別で考えていくことにしましょう。
 高校生については、肩・肘等に問題(怪我)を抱えている選手を除いては、原則「ベンチ・プレス」を行います。(※ベンチ・プレス=以下、BP)
 高校生の多くは、少なくとも入学時までに本格的なトレーニング経験がなく、基礎的な筋力・体力が備わっていない選手がほとんどです。したがって、トレーニングの基本原則である「全面性の原則」に則り、競技特性・ポジション特性よりも先に、まずはアスリートしての身体をつくっていく必要があります。
 そして、入学してから、半年、1年と定期的かつ継続的なトレーニングを実施する中で、段階的にポジション特性に応じたプログラムに発展させていきます。
 大学生については、その判断が分かれるところです。高校時のトレーニング経験や筋力・体力レベルにバラつきがあることが多く、選手個々の特徴をみながら、必要性を判断していきます。また、大学生は技術的に未完成の選手が多く、技術を身につける上で必要なトレーニングは何かという観点から考えることもあります。そのような場合は、監督やピッチング・コーチらと相談しながら、進めていくことが理想です。
 社会人(プロ)のレベルになると、当然ながら投手としてのレベルが高く、技術的に安定してきます。そのような選手については、まずは選手個々の感覚的な部分を尊重し、選択させるようにしています。
 また、BPと言っても、ハーフBP、フルBP、ダンベルBPなどその方法論は様々で、特に社会人まで投手として活躍してきた選手は、肩・肘に障害や不調を抱えている選手も多くいることから、その選手に合った方法を選択させることも大切です。

 さて、上記のように世代別の特徴を整理した上で、投手に対し、BPを中心として、上体トレーニングを組み立てる場合の原則となる考え方や基本パターン、実例を以下に記していくことにします。

 まず、プログラムを組む上でのPointを整理します。

①表裏のバランス
 
BP(表)に対し、ラット・プル・ダウンやベンチ・プル、ダンベル・ロウなど上背部(裏)のエクササイズをセットで組み合わせて進めます。また、その割合としては、「表1」に対し「裏2」を行うようなイメージがよいでしょう。投動作を考えると、BPのような押す動作よりも、引く動作やそれに関与する筋群を強化した方が良いからです。

②肩甲骨周りの可動性・柔軟性を確保
 投げる上で、肩甲骨の可動域が大きく、いわゆる「肩周りが柔らかい」状態が理想です。特に、BPを行う際は、肩甲骨を内転位に固定して行うことから、可動域が固定化されたり狭くならないように、セットごとに肩甲骨周りを意識的に動かします。

③胸椎伸展可動域(柔軟性)の確保
 ②の肩甲骨の可動性とも関係しますが、胸椎の伸展可動域、つまり胸が反れる状態を保つことが大切です。特に、伸展可動域が低下することで、胸が張れなくなることにより、腕のしなりが失われがちになります。そして、代償動作を誘発し、肩・肘の障害の要因の一つになることがあります。
 したがって、②③より、「強さと柔らかさ」を両立させることが、野球選手の上体トレーニングのキーワードであり、BPを導入する上でのPointと言えます。

④肩(前部)・肘へのストレスに注意

 リスクマネジメントの観点からBPを捉えると、肩前方部や肘周りに力学的ストレスがかかることから、BPそのものの必要性の有無にについて議論されることがあります。そのようなリスクを軽減させるための方法論として、ハーフBPやダンベルBPなどは有効な方法の一つと言えます。

 さて、上記のようなPointを踏まえた上で、実際のトレーニング・プログラム例をご紹介します。
 モデルは、高校生の投手とし、BPの初期導入段階を終え、本格的なトレーニングをスタートさせる段階での実践例です。
 今回は、写真のような「ハーフBP」を採用します。ハーフBPは、上述のように肩周りへの力学的ストレスを軽減させるだけでなく、可動域に制限をかけることで最も力を出しやすいポジションでのトレーニングを可能とします。それによって、高重量でのトレーニング感覚を養わせることができるため、まずは基礎的な筋力を高めたい高校生段階の選手にとっては有効な進め方です。

 

web2fig1.jpg

 

HBP.jpg scapular push.JPG Lat.JPG shoulder bridge.JPG

 上記のような例は、上体トレーニングの中で、BPを軸に考えた場合の一例です。目的や時期、トレーニングに充てられる時間によっても、内容が変わってくることは言うまでもありません。

 今回取り上げた例についてまとめると、BPを軸に考えた場合、BPのみを集中的に行うのではなく、BPの「セット間」を利用するという発想で、同時並行的にプル系のエクササイズを組み入れることで、効率性を高めると共に、バランスよく強化することや野球選手(特に投手)の特異性を考慮することにもなります。

 一方で、上体トレーニングの中でBPをそれほど重視しない、あるいは採用しないという考え方もあります。その辺りについては、第2回目に解説していきます。

2017年7月2日
文責:鬼頭 祐介

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